体育会系の就職活動について調べると、多くの記事が同じことを勧めています。OB・OG訪問をする。体育会系向けの就活エージェントに登録する。部の先輩に紹介してもらう。
いずれも有効な手段です。実際、紹介経由で納得のいく進路を決める学生は大勢います。
一方で、そのルートだけに任せてしまうと、出会える企業の範囲が最初から決まってしまうという側面もあります。
この記事では、紹介に頼りきらずに自分で企業を探すための考え方と、具体的な進め方を整理します。
自分が想定している就活は思っているよりも狭い

まず、なぜ自分でも探す必要があるのかを、数字から確認しておきましょう。
リクルートワークス研究所の調査によると、2027年3月卒の求人数は、従業員5,000人以上の企業が5.5万人であるのに対し、300人未満の企業は38.5万人です。求人の数でいえば、7倍近い差があります。
求人倍率で見ると、差はさらにはっきりします。2026年3月卒の調査では、300人未満の企業の求人倍率が8.98倍だったのに対し、全体の平均は1.66倍でした。学生1人あたり9件近い求人がある規模の会社がある一方で、知名度の高い企業に応募が集中しているという構図です。
つまり、名前を知っている会社だけを見ていると、求人全体のごく一部しか視界に入っていないことになります。これは紹介ルートに限った話ではありませんが、紹介で届く情報も、先輩が就職した会社という範囲に自然と収まります。良い悪いで判断できる話ではなく、仕組み上そうなるという事実だけでも知っておきましょう。
出典:
第43回 ワークス大卒求人倍率調査(2027年卒)リクルートワークス研究所
第42回 ワークス大卒求人倍率調査(2026年卒)リクルートワークス研究所
コミュニティの狭さという構造
もう一つ、背景にある事情があります。競技に打ち込んでいると、過ごす時間の大半を同じメンバーと過ごすことになります。狭いコミュニティにいる時間が長いと、幅広い価値観と触れる機会が限られるため、OB・OGがいる業界だけをチェックして視野が狭くなる、という課題が指摘されています。
これも構造自体に問題があるというよりは、時間の使い方の結果と考えられます。一般の学生がアルバイトや長期インターンで蓄えている「この仕事は自分に合わない」という感覚が、競技に時間を注いだぶん少ないまま本番を迎えることになってしまうのです。
だからこそ、意識的に外の情報を取りに行く必要があるといえるでしょう。
「体育会歓迎」だけで選ばない
企業を探していると、「体育会系歓迎」と書かれた求人に目が留まるはずです。自分の経験を評価してもらえるのは、素直に嬉しいことでしょう。ただし、歓迎されることと、自分の強みが活きることは必ずしも一致しません。
確認しておきたいのが、その業界や会社で人が定着しているかどうかです。厚生労働省の調査によると、令和4年3月に卒業した大学生の3年以内離職率は33.8%でした。ただし、この数字は産業によって大きく異なります。宿泊業・飲食サービス業が55.4%と最も高く、生活関連サービス業・娯楽業が54.7%、小売業が40.4%と続きます。一方で、製造業は21.2%です。
同じ「体育会系歓迎」でも、宿泊・飲食の会社と製造業の会社では、入社後3年の景色がまったく違うということです。
事業所の規模によっても差があります。同じ調査では、1,000人以上の事業所が27.0%であるのに対し、規模が小さいほど離職率が高くなる傾向が示されています。中小企業は求人の数が多い一方で、会社ごとの差も大きいと考えたほうが現実的でしょう。
つまり、求人票の「歓迎」という言葉だけでは判断できないということです。業界の水準を知ったうえで、その会社がどうなのかを個別に確かめる。この手間を惜しまないことが、入社後の納得につながります。
出典:
新規学卒就職者の離職状況(令和4年3月卒業者)厚生労働省
なぜ体力が評価されるのかを考える
求人を見るときに有効なのが、「なぜこの会社は体育会系を求めているのか」を考えてみることです。継続して努力できる人を求めているのか。チームで動ける人を求めているのか。それとも、単に長時間働ける人を探しているのか。
同じ「体育会系歓迎」でも、意味するところは企業によって違います。採用ページで求める人物像を読み、仕事内容の説明と照らし合わせてみると、どちらなのかは見えてくるものです。
自分で企業を探す手順

では、紹介以外にどうやって企業を見つけるのか。難しく考える必要はなく、順を追って進めれば形になります。
競技経験から仕事の方向性を考える
出発点は、自分が何をしてきたか、これからどんな人生を送っていきたいのかを整理することから始めてみましょう。自分が打ち込んできたのは、団体競技だったのか、個人競技だったのか。作戦を考えて判断する場面が多かったのか、反復して精度を高める場面が多かったのか。人に教える役割があったのか、自分が結果を出す役割だったのか。
こうした軸で競技経験を捉え直すと、営業、人材、企画、技術系といった職種との相性が見えてくると言われています。
もちろん、これだけで職種が決まるわけではありません。ただ、何から調べ始めればいいか分からないときの入口にはなるでしょう。
業界を広げて見る
職種の方向性が見えたら、その職種がある業界を洗い出してみてください。たとえば営業職は、ほとんどすべての業界にあります。紹介で届きやすい金融や不動産だけでなく、メーカー、食品、医療、教育、ITにも営業はいるのです。同じ職種でも、扱う商材が違えば仕事の中身はまったく変わります。
ここで意識したいのが、知名度で絞らないことです。名前を知っている会社だけを見ていると、候補は数十社で止まります。業界を軸に探すと、それまで名前も知らなかった会社が出てきます。
一次情報を読む
気になる会社が見つかったら、その会社自身が出している情報を読んでみましょう。採用サイトだけでなく、企業サイトの事業紹介、ニュースリリース、社長のインタビュー記事。これらは会社が自分の言葉で書いているものなので、何を大事にしているかが表れます。
口コミサイトも参考にはなりますが、極端な意見に偏りやすい傾向があることを理解したうえで、中立的な視点で読むことが大切です。複数の情報源をバランスよく使い、自分なりの判断軸を持つようにしましょう。
動いている会社を探す
最後に、実際に募集しているかを確認します。就活ナビサイトの検索条件を、業界や職種で設定して探すのが基本です。そのうえで、採用ページに募集時期の記載があるかを見てください。通年採用と明記されている企業であれば、競技のシーズンとずれても応募できる可能性があります。
大手企業ほど日程が早く固定されやすい一方、中小企業は大手との重複を避けて時期をずらすことが一般的です。リーグ戦と重なって受けられなかった時期があっても、別の時期に動いている企業は存在します。
会社の規模で見え方が変わる
探すときに意識しておきたいのが、企業規模による違いです。知名度の高い大手企業は、応募者が多く選考の倍率も上がります。一方で、名前が知られていない中小企業のなかには、事業内容が面白く、若いうちから任される範囲が広い会社もあります。
規模が小さいほど、一人が担当する工程は広くなる傾向があります。企画から納品まで一人が関わる会社もあれば、工程ごとに担当が分かれている会社もある。どちらが良いということではなく、自分がどう働きたいかによって向き不向きが変わります。
採用ページの仕事内容の説明を読むと、この違いは見えてきます。「〇〇を担当します」と限定的に書かれているか、「一連の流れに関わります」と書かれているか。文面の差に意味があるのです。
紹介とどう使い分けるか

ここまで自力で企業を探す方法についてお伝えしてきましたが、紹介ルートを諦める必要はありません。
推薦や紹介には、外から調べるだけでは得られない情報がついてきます。実際に働いている先輩から、仕事の中身や社内の雰囲気を聞ける。これは求人票や採用サイトからは分からない部分でしょう。
大切なのは、紹介された会社をそのまま受けるのではなく、自分でも調べたうえで判断することです。両方のルートを持っておけば、比べる対象ができ、自分自身の就活もより広い視野をもって取り組めるでしょう。
使い分けの考え方
紹介ルートが強いのは、内部の実感が聞けることです。実際に働いている先輩から、仕事の中身や社内の雰囲気を聞ける。これは外からでは得られない情報でしょう。
一方で、自分で探すルートが強いのは、範囲の広さです。先輩がいない業界、名前を知らなかった会社にも手が届きます。
つまり、紹介で深さを、自分の探索で広さを取るという使い分けが成り立ちます。まず自分で業界を広く見て、気になった分野に先輩がいれば話を聞く。この順番であれば、両方の利点を使えるでしょう。
エージェントに相談する前にやっておくこと
就活エージェントを使う場合も、同じことが言えます。エージェントは求人を持っていますが、提案されるのは登録されている企業のなかからです。自分の希望が曖昧なまま相談すると、提案された範囲がそのまま選択肢になってしまいます。
先に自分で業界を調べて、「この方向で考えている」と言える状態にしておく。そのうえで相談すれば、提案の精度は上がるでしょう。情報を受け取るだけでなく、自分の軸を持って使うことが大切です。
ユニファーストについて
ユニファーストは、オリジナルグッズやノベルティの企画から製造、納品までを手がけています。営業、デザイナー、生産管理、品質管理といった職種があり、一つの案件を複数の職種で進めていく会社です。
おそらく、多くの就活生にとっては初めて聞く企業名かもしれません。ノベルティやオリジナルグッズの製造は、普段の生活で意識することの少ない業界です。それでも、イベント会場で配られているグッズや、店頭で見かける販促物の多くは、こうした会社が関わって生まれています。
2028年卒向けのインターンシップは、マイナビから受け付けています。実際の仕事を体験しながら、業界への理解を深めていただける内容です。具体的な日程や応募方法については、マイナビの募集ページをご確認ください。
選考で見ているのは、競技成績や所属の肩書きではありません。何かに時間をかけて取り組んだ経験があり、その過程を自分の言葉で説明できるかどうかです。
まとめ
紹介ルートは有効な手段であり、使わない理由はありません。ただ、そのルートだけに任せると、出会える企業の範囲が最初から限られてしまいます。
自分で探すときの手順は、競技経験から職種の方向性を考え、その職種がある業界を広げて見て、気になった会社の一次情報を読む。そして実際に募集しているかを確認する。この順番で進めれば、知らなかった会社にも手が届くようになるでしょう。
就職活動は、情報をどれだけ持っているかで選べる範囲が決まります。競技に打ち込んできた時間は何も失わせませんが、情報を取りに行く時間は自分でつくるしかありません。
まずは、名前を知らない会社を一社調べてみてください。30分もあれば、事業内容と働き方のおおよそは掴めます。そこから見える景色は、これまでとは少し違っているかもしれません。
競技と就職活動の時期の重なり方については、こちらの記事でも解説しています。
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