ガクチカが書けない?部活以外の経験から見つける方法

エントリーシートのガクチカ欄を前にして、書くことが思いつかない。体育会系の部活に打ち込んだわけでもなく、留学経験も、目立った受賞歴もない。そう感じている学生は少なくありません。

ガクチカとは「学生時代に力を入れたこと」の略称です。自己PR・志望動機と並んでエントリーシートの三大設問と呼ばれ、多くの企業が選考の入口で必ず確認する項目です。

この記事では、部活以外の経験からガクチカを見つける方法と、書くときに押さえておきたい点を整理します。

企業がガクチカで見ているもの

まず、企業が何を判断材料にしているのかを確認します。

リクナビは、人事が重視するのはエピソードの華やかさではなく、ガクチカのプロセスに人となりや特徴が表れているかどうかだと説明しています。そのうえで、結果が出なかった経験や失敗に終わった経験でもよく、特別な経験である必要もないと明記しています。

つまり、評価の対象は実績そのものではなく、その過程での行動です。何を目標にして、どこでつまずいて、そのとき何を考えて動いたか。企業はそこから、入社後の働き方を推測しています。

出典: リクナビ就活準備ガイド「エントリーシート(ES)基本の書き方と例文」

体育会系が評価されやすい理由

就職活動では、体育会系の経験が評価されやすいと言われます。目標に向けて練習を継続する、チームで役割を分担する、結果が出ない時期にも取り組みを続ける。こうした経験は、働くうえでの行動に近いためです。

ただし評価されているのは「体育会系という肩書き」ではなく、その中身です。であれば、同じ中身を持つ経験であれば、部活である必要はありません。

部活以外の経験を題材にする

実際にどんな経験が題材になるのか、いくつか例を挙げます。
アルバイトであれば、接客のなかで相手に応じて対応を変えてきた経験、混雑時の段取りを改善した経験、新人教育を任された経験などが該当します。勤務歴が長いほど、任される範囲が広がった過程を説明できます。

文化系の部活やサークルでは、演奏会や公演に向けて数か月単位で準備を進めます。期限のある目標に対して、メンバーの意見をまとめながら形にしていく過程は、仕事の進め方と構造が同じです。

研究やゼミであれば、仮説を立てて検証し、想定と違う結果が出たら方法を変えるという流れがあります。課題解決のプロセスをそのまま説明できる題材です。

このほか、学生団体の運営、ボランティア、長期インターン、家業の手伝いなども該当します。自分の判断が入る余地があった経験なら、説明できる内容が残っています。

リーダー経験は必須ではない

「リーダーをやっていないから書くことがない」という相談もよく聞きますが、企業は役職の有無だけを見ているわけではありません。
チームのなかでどの役割を担っていたか。意見を調整する立場だったのか、準備を引き受ける立場だったのか。どちらも組織には必要です。
実際、既存記事でも解説しているとおり、レギュラーとして活躍した経験だけでなく、チームを支える立場で工夫した経験も十分にアピールできます。

題材の見つけ方

題材が決まらないときは、次の手順で整理します。
まず、一定期間続けて取り組んだことを書き出します。アルバイト、サークル、ゼミ、研究、趣味。種類も期間も問いません。

次に、それぞれについて三つの点を思い出します。
始めたときに何を目指していたか。途中でどんな問題が起きたか。そのとき何を考えて、どう動いたか。 この三つが埋まる経験が、ガクチカの候補になります。

逆に、実績が大きくてもこの三つを説明できない経験は、面接で深掘りされたときに答えに詰まります。選ぶ基準は見栄えではなく、自分で説明できるかどうかです。

期間の長さは問われない

「4年間続けたこと」がないという理由で候補から外す必要はありません。
半年でも数か月でも、その期間に自分の判断があったのなら題材になります。短期の経験が複数ある場合は、そこに共通する行動の傾向を探すという方法もあります。

思い出せないときは人に聞く

自分ひとりで振り返っても出てこない場合は、当時一緒にいた人に聞いてみてください。
日常的にやっていたことほど、本人には当たり前に感じられて記憶に残りません。

友人やアルバイト先の同僚から「あのときこうしていた」と指摘されて、はじめて気づくことがあります。人から見た自分の姿は、面接官が受け取る印象にも近いものです。

AIでガクチカを書くときの注意点

現在は、就活サイトにもガクチカの素案を作成するAI機能が搭載されています。リクナビのアプリには、4つの質問に答えるとAIが素案を作成する「ガクチカAIアシスタント」が実装されています。

こうしたツールを使うこと自体に問題はありません。ただし、使う順番を間違えると選考で不利になります。 AIは、あなたのアルバイト先で何が起きたかを知りません。どんな人がいて、何に困って、どう対応したか。
その情報がないまま「ガクチカを書いて」と頼めば、一般的な型に沿った文章が返ってきます。読みやすくはあっても、中身は誰のものでもありません。

先に振り返り、あとで整理を任せる

順番としては、先に自分で振り返ります。前の章の三つの問いに、自分の言葉で答えを出しておく。そのうえで、その内容をAIに読み込ませます。

情報は、整理されていなくて構いません。どんな状況だったか、誰が関わっていたか、何を試して、結果どうなったか。断片的な記憶ほど素材として使えます。
そのうえで「この内容を400字にまとめて」と指示すれば、出てくるのは自分の経験に基づいた文章です。

同じツールでも、AIへの指示や情報量が違えば結果は変わります。文字数についても、指定がある場合は指定枠の8〜9割以上を埋めるのが基本、指定がない場合は1設問あたり400〜500字が目安とされています。

提出先は企業によって異なる

書いたガクチカを提出する場所は、主に次の3つです。
1つ目は企業ごとのエントリーシートです。設問の文言や文字数は企業により異なります。
2つ目はOpenESです。リクナビが提供する機能で、一度作成したものを複数の企業に提出できます。ただし使い回しが前提のため内容が一般的になりやすく、基本情報はOpenESで受け取り、志望動機などは自社専用フォームで入力させる併用パターンが一般的とされています。

3つ目はスカウト型サービスのプロフィール欄です。学生が登録した内容を企業側が見てオファーを送る仕組みのため、ここでも同様の内容が求められます。
どの経路でも、提出後に面接で同じ経験について質問される点は変わりません。

面接では必ず深掘りされる

書類を通過すると、面接で同じ経験について質問されます。
面接官が聞くのは、書かれていない部分です。なぜその判断をしたのか、他の選択肢は検討したのか、同じ状況になったらどうするか。質問は具体的な方向へ進みます。

ここで差が出るのが、自分で振り返っているかどうかです。自分の経験から出発していない文章は、二段階ほど掘り下げられると答えが出てきません。
逆に、内容が地味でも自分で考えたものなら、どの角度から聞かれても説明できます。 文章の完成度と、面接で答えられるかどうかは別の問題です。

結果が出なかった経験をどう扱うか

ガクチカには成功体験を書くもの、という前提を持っている人が多いようです。目標を達成した、大会で入賞した、売上を伸ばした。そうでなければ評価されないと考えてしまう。

先に挙げたとおり、リクナビは結果が出なかった経験でも問題ないと明記しています。理由は、働き始めてから直面する場面の多くが、思うようにいかない状況だからです。

働き始めれば、準備した提案が通らない、想定した仕様では作れないと分かる、予定していた納期が動くといった場面に出会います。希望と違う仕事を任される時期もあります。そういう場面で何を考え、どう動くか。企業が学生時代の経験から推測しようとしているのは、そこです。

目標に届かなかった、途中で方針を変えた、想定した成果が出なかった。そのとき何を考えて次にどう動いたかまで説明できれば、題材として成立します。

続けたこと自体も材料になる

結果が出ないなかで続けた、という事実も書く材料です。
やめる選択肢もあったなかで、なぜ続けたのか。その理由を自分の言葉で説明できるなら、行動の根拠として伝わります。仕事でも短期間で成果が出ることばかりではなく、断られても次に動く、やり方を変えて再度試すという繰り返しのなかで結果が出ます。

ユニファーストが選考で見ていること

ユニファーストは、オリジナルグッズやノベルティの企画から製造、納品までを一貫して手がけています。営業、デザイナー、生産管理、品質管理と職種は分かれていますが、一つの案件を複数の職種で進めるという点は共通しています。

お客様の要望を営業が受け取り、デザイナーが形にし、生産管理が工場とのやり取りを進め、品質管理が仕上がりを確認する。どの工程でも、想定どおりに進まない場面は出てきます。

提案が通らない、デザインの方向性が決まらない、納期や仕様の調整が必要になる。そこで止まるのか、理由を確認して次の手を考えられるのか。この差が、年数を重ねるほど開いていきます。

そのため選考では、職種を問わず、実績の規模そのものは判断基準にしていません。時間をかけて取り組んだ経験があり、その過程を自分の言葉で説明できるかを見ています。部活でも、アルバイトでも、研究でも構いません。

まとめ

書類と数回の面接だけで、お互いを理解し切ることは難しいものです。私たちも、限られた時間のなかで判断しなければなりません。
だからこそ、事前に提供できる情報で、できるだけ判断の手がかりをみせておくことが大切になります。

そのためのガクチカは、実績のあるなしだけでは測れません。何かに取り組んだ時間のなかで、自分が何を考え、どう動いたか。それを自分の言葉で説明できること。私たちが知りたいのはそういった部分です。

うまくいかなかった話でも構いません。むしろ、思うようにいかない状況をどう受け止めたかのほうが、一緒に働く場面を想像しやすくなります。
仕事では、そういう時間のほうが長いからです。

まずは、自分が時間をかけてきたことを思い出すところから始めてみてください。
書き出してみると、当時は何とも思わなかったことのなかに、説明する価値のある判断が残っているはずです。

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